〇〇〇号室の頻繁なナースコールには今後どう対応するかべきか

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【結論】

[常時]
センサーマット設置

 

[日中]
自宅ではソファに座り生活されていた。【居室内にソファを設置する】
家人要望では「寝ているだけでなく活動を」とある。【日中は離床時間を増やし活動を促して、夜しっかり眠れるよう援助する】

 

[夜間]
夜間はナースコール(+++)時、屯用薬内服。
「お腹が空く」等の訴えある場合←(これに関しては介護部職員より議題提出がありましたので、今月(3月)の会議で話し合い決めたいと思います)

 

上記の対応を行ってもコールが続く場合は夜間のみナースコールを離す事を許可する。
(管理者、ケアマネ、各部門長、家人様承諾)

ただし、ナースコールを離した事実を記録として残す事。
20分に1回は巡視をして様子を確認し責任を持って記録する事。
ナースコールを離すのは一時的でなければならない。(最長1時間で元に戻す)

これをルールとします。

ナースコールは必要か

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そもそもナースコールは介護付き有料老人ホームで設置が義務付けられているものなのでしょうか?

 

もし義務付けられていたとしても、センサーマットが敷いてあれば必要ないという基準があるかもしれません。

 

今回私は4つの社会資源から助言や情報を頂きました。

 

連絡をした4つの機関は、

 

【法務省】
常設人権相談所(全国共通ナビダイヤル)
人権相談受付窓口
電話:0570−003−110
ゼロゼロみんなの110番
受付時間平日午前8時30分から午後5時15分まで
【厚生労働省】
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
電話:03-5253-1111(代表)(平日18時15分まで)

 

その他、都道府県、市町村の高齢者福祉・介護保険福祉関係の相談所。

 

これらの機関にぶつけた内容は次の通りです。

  1. 介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)では、ナースコールを設置しなければならないのか
  2. コールが頻繁な入居者様のナースコールを「外す・使えなくする・離す」はありかどうか
  3. センサーマットを設置していればナースコールは無くても良いのか

以上この3つです。

 

入居者様の現在の様子とナースコールが頻繁に続く時の職員の対応や、その時の業務の支障状況は伝えています。もちろん個人情報や施設名は伝えていません(先方からも個人情報や施設情報に触れないよう配慮もありました)

 

 

1.介護付き有介料老人ホームはナースコールを設置しなければならないのか

厚生労働省の「有料老人ホームの設置運営標準指針」5規模及び構造設備の(3)に、「緊急通報装置を設置する等により、入居者の急病等緊急時の対応を図ること」とある。

 

場所指定は無いものの、居室内に何かしらの設備を置かなくてはならないと解釈するのが、適切な判断と言ったところではないのでしょうか。

 

「緊急通報装置を設置する等」とあるため、「ナースコールでなければならない」とまでは決められてはいません。つまりナースコールではなくナースコールと類似した代替機器であっても良いということです。

 

これに関しては、4つの機関全てが許容範囲内として認識されている模様。

2.コールが頻繁な入居者様のナースコールを「外す・使えなくする・離す」はありかどうか

私たち特定施設の職員が、ある一人の利用者様に対してナースコールを使えなくする、あるいはコールを無視するとどうなるのか見ていきます。

 

特養の場合ではありますが「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」第15条の第4項には、こう書かれています。

 

特別養護老人ホームは、入所者の処遇に当たっては、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行ってはならない。

 

これについては特定施設も特養の基準をそのまま活かし、同基準として既に取り入れられています。

 

ナースコールを「外す・使えなくする・手の届かないところに置く」という行為は身体拘束ではないものの、「職員を呼ぶという行動を制限している」と捉えられかねません。と言うよりも我々介護職員は積極的にそう解釈すべきだと思います。

 

>頻繁に鳴るコールを無視するという行為は基準上どうか?

 

【解決】鬼ナースコールを合法的に解決させる方法【特定施設版】

 

ナースコールを無視・放置することに関しては、「運営に関する基準」上では禁止されてはいません。

 

しかし、平成17年11月9日からある法律ができて対応は一転。
それが「高齢者虐待防止法」です。

 

さらに、高齢者防止法を基にして作成された平成24年にできた日本社会福祉士会の「市町村・都道府県のための養介護施設従事者等による高齢者虐待対応の手引き」がナースコールの扱いに対し虐待とみなす具体例をあげたことにより、介護現場の対応は様変わりします。

 

社団法人日本社会福祉士会の『市町村・都道府県のための養介護施設従事者等による高齢者虐待対応の手引き』(平成24年)の「養介護施設従事者等による高齢者虐待の具体例」ではこう触れられています。(以下に一部分を抜粋)

 

まず、「ロ 介護・世話の放棄・放任」の中に、
B必要な用具の使用を限定し、高齢者の要望や行動を制限させる行為
・ナースコール等を使用させない、手の届かないところに置く。

 

とあります。そして「ハ 心理的虐待」には、

 

B高齢者や家族の存在や行為を否定、無視するような発言、態度
・「意味もなくコールを押さないで」「なんでこんな事ができないの」などと言う。
・話しかけ、ナースコール等を無視する。

 

と明記されています。

 

自治体自身が、これをそのまま虐待の定義として引用しているという事実がある以上、もはやナースコールを「外す・離す」さらには、コールが頻繁に鳴って大変でも放っておくのは虐待とみなさざるを得ないということです。

 

3.センサーマットを設置していればナースコールは無くても良いのか

センサーマットを「緊急通報装置」として捉えても良いという考え方。

 

これについては各機関から「現在は違法となる可能性は低いかもしれませんが支持はしません」との回答を頂きました。

 

特養の場合は設置基準として「ブザー又はこれに代わる設備」とある様に、特定施設とは違う内容が記されています。

 

つまり特養の場合は「職員を呼ぶための場合で広く使用できるものだという前提があるわけです。

 

ですから特養ではナースコール若しくはブザー等の代替設備は居室に設置しないわけにはいきません。

 

しかし特定にはその基準がなく、あくまでも『緊急通報装置の設置』とされているだけです。

 

法律上センサーマットが緊急通報装置ではないとは明記されてはいません。

 

ナースコールの代替機器としてセンサーマットはグレーゾーンではありますが、手段としては使えます。

 

 

今後の対応と、これからの課題

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この案件は、私たちの職場だけではなく、すべての介護施設が、対応を迫られているのではないのかなと思っています。

 

今回〇〇〇号室入居者様の頻繁なナースコールに対してどう対処するのか決めたわけですが、ハッキリ言って、まったく楽しくない、つまらないと感じています。

 

ここからは私の価値観で書きますが、自分の場合は〇〇〇号室の入居者様がコールを連発していても「良いね!」と思っています。

 

さすがに全ての入居者様が〇〇〇号室の入居者様のように突然エンジンかかってコール連発してきたら厳しいですが、そうではないです。

 

そして、コール連発時こうも思っています。

 

「困っている」のかも、「助けて欲しい」のかも、「寂しい」のかも、「何となく、そこにボタンがある」なのかも。

 

〇〇〇号室の入居者様が「何となく」押していたとしても良いと思うのです。

 

〇〇〇号室の入居者様が頻繁にコールを押す時、私達が訪室するとその入居者様は嫌がりますか?

 

「ありがと」「ゴメンね」という発言が多くはないですか?

 

「金払っているんだから当たり前だろ!」「来るのが遅いよ!」と言っている入居者様ではありませんよね。

 

むしろ私たちに礼儀をみせ、感謝する傾向のある方です。

 

そんな入居者様のナースコールを「ああするこうする」ということは、本当はしたくないなって思います。(これは私の価値観なので無視して良いです)

 

他の入居者様からの呼び出しに支障が出てしまう事や、同じ入居者様からの頻繁なコールで職員が抱く心理的負担等を考えると、今のままでは良くないのもわかります。

 

ですから今回は〇〇〇号室の入居者様に限りルールを定めて最初に記した「結論」の通りに実施するに至りました。

 

もちろん今回の決定を否定する職員が居たって良いと思っています。

 

「私はナースコールを離す対応は絶対しない」
そう、それもありです。

 

ナースコールを押す根底にある「深層心理」
そこにフォーカスした「声にない声」を探る。

 

当施設には「観察力」「洞察力」が鋭い人が多くいます。
その能力をもっとポジティブに、よりプラスに精度を上げていって下さい(^^)


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